事前準備
前日までに、粉の薬品は溶いておきましょう。完全に溶かすには、丸一日寝かせておいた方がいいです。
液タイプのものであれば、使用する直前につくっても大丈夫です。
遮光も厳重に行います。
床などにビニールシートや新聞などを並べて、現像・停止・定着までのバットを並べます。
水洗用のバットは、お風呂場、台所などに用意します。
液を適温(20度など)に調整して、とくに温度管理が大切な現像用のバットには、温度計を入れておきます。
セーフライトなどのスイッチを入れて、部屋の灯りを消したら暗室の準備完了です。
テストピース
引き伸ばし機にレンズをつけます。
ネガをネガキャリアに入れるまえに、光源を光らせて、均一に明るくなっているかを確認。
プリントするネガをキャリアに挟み、ブロアーでほこりをとります。
ブロアーでとれないホコリは、フィルムクリーナーなどで綺麗にします。
ネガについたキズは、ネガキズ除去剤を塗ると、プリントのときにキズが出ません。
裏技として、鼻の脂を塗ってもキズは消えますが、ゴミはのりやすいです…。
以前プリントした印画紙などをイーゼルに装着して、イーゼルのマスクを調整する。
(イーゼルのページも参照のこと)
ランプを光らせ、引き伸ばし機のヘッド(ランプハウス)の高さを調整して、イーゼルに写る写真のサイズを調整。(マスクにギリギリはみ出させる)
ピントを調整。小さいサイズではフォーカススコープは使わないほうが見やすい。
このときのレンズの絞りは開放で行う。
レンズの絞りを絞る。開放値から二絞り絞ったのが、レンズの能力をもっとも活かせる言われています。
多階調印画紙の場合には、号数フィルターをセット。
フィルターをつけない状態が2号をつけたときと同じ階調になるといわれているが、2号のフィルターをつけてテストした方が号数を少し変更する場合なども、露光秒数の変化を抑えられます。
まずは2号フィルターをつけてテスト露光。
写真の一番暗い部分と、一番明るい部分が入るおおきさに印画紙をカット(やぶいてOK)して、テストピースをつくる。
露光秒数を大きく変化させて、まとめて現像・停止・定着を行う。
バットにテストピースを入れたら、重ならないようにばらけさせて現像すること。
(例:現像1分〜1分半、停止30秒、定着30秒〜1分)
テストなので、水洗までする必要はない。
定着のバットに入れてちょっとしたら、部屋の蛍光灯をつけてチェックしてしまってOK。
チェックが終わったらもう必要ないので、そのままメスカップなどにつっこんでしまって大丈夫。
良さそうな露光秒数の数値を参考にして、さらにその前後20%くらいでテスト。
間違えないように裏に油性ペンなどで秒数をメモするのもいいです。
テストピースでだいたいの秒数を決めたら、次は一枚の印画紙に露光。
本番プリントへ
テストでよさそうな秒数で、印画紙一枚に露光。これはまだテスト。
ランプハウスが下がってきたり、上がったりしている可能性があるので、毎回ピントの再確認を忘れずに。
現像の手順としては、まず暗室時計の秒針がちょうどキリのいい数字になるのを待つ。(0,15,30,45とかの方が覚えやすいから。)
そして現像液に乳剤面を下にして投入。印画紙の端を竹ピンでつまんで、波打たせるようによく攪拌。ちゃんと攪拌しないと、現像ムラになります。
現像に必要な秒数の15秒くらい前になったら、印画紙をバットから引き上げて、15秒間はバットの上で液を切る。(ただ竹ピンで持ってればいい)
停止液も定着液も同様。
定着液に入れて30秒くらいしたら、もう部屋の電気をつけてチェックしても問題ありません。
部分的なテストプリントは、だいたいの露光秒数を決めることくらいしかできません。
やはり全体にプリントしたのを見て、細かい号数フィルターや、秒数、多い焼きや焼きこみをする場所を決めます。
いよいよ本番プリント
引き伸ばし機やイーゼルに触れないように気をつけて露光。
濃すぎる部分(顔など)を覆い焼きする。(針金の先をまるくして、黒パーマセルなどで覆った器具や、素手でする。)秒数はだいたい決めて、多い焼きしたのがわからなくなるように常に多い焼きする器具は動かすこと。
露光を一度終えてから、焼きこみ分を露光します。(全体を露光させて、現像した真っ黒な印画紙のまんなかに丸く穴をあけたものを使う。)
これも常に動かして、ムラにならないように気をつける。水平に移動させるだけでなく、垂直に移動させるのも手。
曇り空などが白とびしてしまう場合、無理に焼きこむと不自然になってしまいます。
乳白色のアクリル板をフィルター部分に入れて、全体をわずかな時間露光させる副露光という方法もありますが、0号などのフィルターを入れて、空の部分を焼きこみすると、自然に印画紙の縁の境目が出ます。
このように、一枚の写真を露光するときに、いろいろな号数のフィルターを部分的に使用することで、階調をコントロールすることもできます。
5号のフィルターで副露光的に少し露光して、黒のしまりを出すなど。
本番プリントなので、定着もきちんと規定時間行ってから軽く水洗してチェック。
ピント、キズやホコリのチェックもして、イメージどおりに焼きあがっていれば、そのまま水洗を続行。
次のネガのプリントへ移る。
印画紙の裏に、油性ペンで露光秒数や、使った号数フィルター、覆い焼き、焼きこみの部分、秒数の説明を書いておくと、またの機会でも同じプリントを作りやすい。
仕上げ
水洗が終わったら、乾燥。洗濯バサミ(フィルムクリップのページを参照)に挟んで吊るすなどして乾くのを待つ。
RCペーパーの場合は、水洗の時間が長すぎると、カーリングしてしまってべこべこになるので注意。
スポッティング
ホコリなどはどうしても入ってしまうものです。なので、スポッティングという作業が必要です。
フィルムにゴミなどが乗っていた部分は、印画紙では白くなってしまいます。
その白い部分に、黒いインクを薄めたものを細い筆で色を乗せていくのがスポッティングです。
薄い色のインクを少しずつのせていく感じでやるのがこつ。
銀の粒子をひとつひとつ再現するつもりで。ネガについた傷なども綺麗に消せるようになります。
よく見たらスポッティングの跡は分かるかも知れませんが、全体を見たときに目立たなくできれば及第点です。