モノクロRC印画紙
RCペーパーは、現像、定着、水洗、乾燥の処理スピードをアップさせるために開発された、紙を樹脂で挟んだ印画紙。RCとはレジンコートの略です。
樹脂によって、処理薬品が紙にしみ込みにくくなっています。
従来のバライタペーパーと同じような豊かな階調が出せるように各メーカーが努力を重ねていますが、やはりバライタペーパーの黒のしまりは出ませんね…。
処理液に浸ける時間や、水洗の時間をなるべく短くすることが大事。ちょっと長く水に漬けておくと、べこべこになって平面性が失われます。
多階調ペーパーもあり、フィルターによって号数が変えられます。
露光時間、液の温度、濃度などが厳密でなくても、一定の結果を得ることができるのも特徴です。
現像液に長く浸けても、現像がどんどん進むということはありません。ちゃんと露光時間で調整しましょう。
歴史が浅いため、長期的に保存させるためには、実績のあるバライタペーパーでプリントするのが好まれます。
紙がコーティングされているため、木のパネルに水貼りすることができません。
どうしてもパネル貼りしたかったら、ペーパーの裏側のコーティングを丁寧に剥がす必要がありますが、これはハッキリ言って素人には無理な作業です。
ドライマウントといって、両面シートを使ってパネルに貼る方法の方が簡単です。
ILFORD(イルフォード):マルチグレードW RCデラックス
ORIENTAL(オリエンタル):ニューシーガル VC-RPIII、イーグルVCRP-F、イーグルVCRP-R
Kentmere(ケントメア):VCセレクト
富士フイルム:フジブロWP FM(2、3)、フジブロWP KM(2、3、4)
モノクロバライタ印画紙
階調表現が豊かで、黒が綺麗にしまるなどの特徴がありますが、かなりの高級品です。
バライタペーパーは、紙に薬品がしみこむので、水洗にはかなりの時間が必要。数十分かかります。
二浴現像、二浴定着、セレン調色など、綺麗にプリントして長期保存できるようにするには手間がかかります。
乾燥させると、スルメイカを焼いたときのように、ペーパーが反ってしまいます。
まっすぐにするために、フラットニングという作業が必要になります。
ドライマウントプレス機というYシャツを挟んでアイロンをかける機械のようなもので、フラットニングします。挟んで温めて平らにするというわけです。
乾燥させるときも、網戸の網のような乾燥棚を利用するのがベストです。
主に写真家が写真展を行うときには、バライタ印画紙を使います。
販売されるオリジナルプリントと呼ばれるものも、バライタ印画紙でプリントされた長期保存が可能なものです。
ILFORD(イルフォード):マルチグレードFBクラシック、マルチグレードFBクールトーン、マルチグレードFBウォームトーン
ORIENTAL(オリエンタル):ニューシーガルVC-FBVAdvance、イーグルVCFB
ARISTA(アリスタ):EDU ULTRA FB VC GLOSSY
印画紙のサイズ
印画紙のサイズは、ちょっと独特です。
小さい方から、カビネ、六つ切り、四つ切り、半切、全紙というのが基本的なサイズの名称だと思ってください。
それに大がついたり、小がついたりもします。
大カビネや小全紙といった具合です。
ややこしいのですが、全紙を半分にすると半切、さらに半分にすると四つ切り、というわけではありません。
おそらく、インチサイズを無理矢理日本語に当てはめたからだと思います。
画用紙も同じサイズの呼び方をしますが、サイズは全然違います。
全紙(ぜんし)
小全紙:40.6×50.8cm(16×20インチ)
全紙:45.7×56.0cm(18×22インチ)
大全紙:50.8×61.0cm(20×24インチ)
インクジェットプリントだと、A2(420×594cm)が近いです。
このくらいが自宅で引き延ばせる限界。
短辺がバッドに入れば、ポスターを丸めるような要領で液に浸けて現像することもできます。もちろんちゃんとやるなら、大きなバッドを用意した方がいいです
135フィルムのネガを全紙サイズまで伸ばすと、かなり粒子が目立ちます。
半切(はんせつ)
半切:35.6×43.2cm(14×17インチ)
A3(297×420cm)、A3ノビ(329×483cm)が近いです。
135フィルムを引き延ばして写真展をするのにおすすめのサイズです。
四切(よつぎり)
特四切:20.3×30.5cm(8×12インチ)
小四切:24.0×30.5cm(9.5×12インチ)
四切:25.4×30.5cm(10×12インチ)
大四切:27.9×35.6cm(11×14インチ)
A4(21.0×29.7cm)より少し大きいサイズ。
135フィルムの画角は横に長いので、A4にプリントしたときとだいたい同じになります。
特四切は、ワイド六切とも言います。
六切(むつぎり)
六切:20.3×25.4cm(8×10インチ)
エイトバイテンと呼ばれるサイズです。
A4(21.0×29.7cm)より少し小さく、B5(182×257cm)に近いサイズです。
印画紙も高いですし、普段伸ばすサイズとしてはこのくらいで十分でしょう。
カビネ
カビネ:12.0×16.5cm
大カビネ:12.7×17.8cm(5×7インチ)
キャビネとも言います。大カビネのサイズの方が一般的です。
ちなみに富士フイルムの大カビネは13.0×18.0cmと表記されています。
同時プリントやデジカメプリントのL判の2倍のサイズを2L判と言いますが、大カビネがそのサイズです。
写真屋さんだと、機械焼きを2L、手焼きをカビネと呼ぶことが多いようです。
大カビネのことも普通にカビネと呼ぶことがあるので、pでサイズを確認したほうが確実ですね。
この他にも、八切(やつぎり)16.5×21.6cmなどのサイズもありますが、モノクロ印画紙として日本で一般的に流通はしていません。
未露光の印画紙は明るいところで開けないこと
印画紙は光に反応します。太陽光はもちろん、蛍光灯にもです。
電気を消した暗室内でのみ、取り出すようにしましょう。
暗い暗室の中でも、黒い袋から出すのは使う分だけです。
一枚取り出すごとに、ちゃんと袋を折って箱の蓋を閉めるクセをつけましょう。
かつて、写真学校の教室で、無邪気に印画紙を箱から出して配っていた学生がいたそうです。
当然、明るい教室で開けてしまった印画紙は丸ごとおじゃん。
高い勉強代になったということです。